国立ならではの伝統と、自由で伸びやかな校風を兼ね備えた国内有数の名門校、筑波大学附属中学校。校務DXの真っ只中にある同校が、2025年4月から新たな校務用端末として採用したのが、ASUS ExpertBook CX54 Chromebook Plus(CX5403)だ。ChromeOS™ 搭載でありながらハイスペックを備えた本機種が選ばれた背景には、今後の学校教育に欠かせない「セキュアな環境づくり」や「AI活用」といった視点がある。同校 教務部長で校務DXを牽引する多田義男教諭に、その導入の経緯と展望を伺った。
筑波大学附属中学校では、2025年夏までに校務会議で Google Chat™ の運用を開始し、年度内には校務全般をクラウド化する計画を進めている。
主幹教諭で教務部長・校務DX担当の多田義男教諭(技術科)は、同じく校務DXを担う近藤俊男教諭(数学科)とともに、プロジェクトの進行を丁寧に管理している。
母体の筑波大学はWindows環境を基盤とし、オンライン会議にはTeamsを活用しているため、同校も同様の環境を整えていたが、長年運用してきたオンプレミスサーバーの老朽化を機に基幹システムの見直しを決断。今後のICT基盤としてクラウド化を視野に入れ、校務・教務システムを Google Workspace for Education(以下、Google Workspace)へ移行する方針を昨年度後半に固めた。
この取り組みに合わせ、校務用端末にはChromebook™ を新規採用。2025年4月にはASUS ExpertBook CX54 Chromebook Plus(CX5403)を42台導入し、クラウドを前提とした業務環境を整備している。
Google Workspace との連携がスムーズな Chromebook。今春から使い始めた近藤教諭は、「まだ操作には慣れていません(笑)。ですが非常にシンプルで、資料を探すのも簡単です。Chromebook Plus は高性能で動作も軽快。ストレスなく使える点が魅力です」と語る。
Chromebook Plus は、AI活用やクラウドに最適化された高スペック端末で、マルチタスクにも優れている。中でもASUS ExpertBook CX54 Chromebook Plus(CX5403)は、ASUSの高性能モデルとして、ビジネス・教育・クリエイティブなど幅広い分野に対応可能だ。
例えば、宿泊行事で生徒のアレルギーや持病などの健康情報を、引率教員や現地関係者と共有する場合や、保護者面談でのやり取りも、Chromebook Plus で入力した内容は Google Workspace に瞬時に反映され、共有できる。「教員間での情報共有がとてもスムーズです。これまでは端末を使っても共有するにはひと手間かかっていました。場所を問わず必要な情報を確認できるので、わざわざ集まる必要も減り、時間の節約につながります」。
Google Workspace はファイル管理が簡単で、日々の業務との相性も良いと多田教諭は語る。加えて、ASUS Chromebook のハード面の優秀さも高く評価する。「スタイリッシュで見た目も格好良く、冷却装置の性能が高いため、熱の影響を受けにくいスタンド型設計が、キーボードの打ちやすさにもつながっています。理にかなったデザイン性が魅力です」。
現在、同校では全学年生徒がWindows端末を使用しているが、1年生のみASUS端末を採用している。1年生の使用実績を通じて、上級生からもASUSのデザイン性の評判が良いという。2026年度の新入生からは、生徒用端末にも順次 Chromebook を導入予定。将来的に同校の基盤が Google for Education™ に移行すれば、情報共有の柔軟性およびセキュリティの精度が一層高まることも期待されている。
多田教諭は、堅牢性の高さにも注目する。同校の生徒は休み時間でも課題に取り組んだり、生徒会活動の資料を作ったりと、端末を常に開いてフル活用している。しかしその反面、破損が発生することもあり、教員は修理対応に時間を取られていたという。ASUS Chromebook の高い堅牢性は、こうした対応負担の軽減にもつながると、多田教諭は期待を寄せている。
GIGAスクール構想により、教員はいつでもどこでも端末を活用できるICT環境が整った。しかし、教室で端末を操作中に席を離れた際、生徒に画面を覗かれるのではないかという懸念もあった。こうした状況は大きなインシデントにつながりかねない。ASUS Chromebook は操作がない状態や画面を閉じることで自動的にスリープに入るため、安心だ。
同校の教育DXアドバイザーを務める井上勝氏は、「ASUS Chromebook はPINコードによる認証が可能です。また、全教員に指紋認証機能付きの Google セキュリティキーを支給しています。通常のセキュリティに加え、指紋認証を使えばPINコード不要でスムーズにログインできる点も便利です」と説明する。
さらに同校では、Google Workspace の4プランの中から、高度なデータ損失防止機能などを備えた最上位の「Education Plus」を選定している。
井上氏は、「教員がロケーションフリーで働く環境を実現するには、セキュリティは可能な限り万全にしておきたいという思いを先生方も持っているはずです。端末利用が増えるほどインシデントのリスクも高まります。万一インシデントが発生すれば業務全体が止まるとともに学校のブランドイメージも損なわれるため、リスクを最小化するには端末とシステム、両方の環境をしっかり連携させることが重要です」と語る。
多田教諭は日頃から勉強会への参加やAI体験を重ね、さまざまな場面で積極的にAIを活用している。例えば、これまでは印刷したプリントで行っていた保護者への随時連絡を、現在はネット配信で実施。文章作成には Google Workspace と連携した Gemini™ を活用し、メール返信にも活用している。キーボードで打ち込むのではなく、マイクで「〇〇はもっと丁寧に」と指示や修正を加えながら文章を仕上げることも多いという。
さらに、小学生の親子を対象とした公開講座の資料もほぼ生成AIで作成。プログラミングの例もAIが出力したものを確認し、整えている。また、「『情報』の先生らしいコスチューム」もAIに相談して決定。講座当日は、AIのアドバイスをもとに選んだコスチュームを着用し登壇、「クローン・ボイス」で録音した声を自己紹介に活用するなど、AIを幅広く取り入れている。
校内だけで共有したい重要な情報は、組織として適切に管理することが求められる。そのためには、全教員が操作方法や手順を正確に理解していることが不可欠だ。多田教諭は、この情報を Google サイト™ で校内向けにWebページとして整備し、マニュアル代わりとなる「動画」資料をアップロードして共有している。動画は、パソコンやスマホの画面操作をそのまま録画して共有できる Chromebook の「スクリーンキャストを活用して作成している。
この取り組みにより、同校で必須の「2段階認証プロセス」の設定方法が全教員に短時間で浸透した。Chromebook Plus なら、動画の作成も視聴も手軽に行える。校務DXは、校内での作業の足並みを揃え、知識を特定の人に依存させないための効果的な手段としても活用できる。
テストではスキャネット社が提供するデジタル採点システム「デジらく採点2クラウド」を活用している。何百枚ものPDFを読み込んで採点するが、Chromebook Plus に切り替えてからは「待ち時間」がほとんどなくなり、処理が格段に速くなった。多田教諭は、この変化が「作問の質の向上」につながっていると話す。
「採点の手間を意識しながら問題を作ると、つい〇✕のような簡単な問いになりがちですが、記述式を取り入れるなど、生徒に考えさせる「問題をこれまで以上に増やせるように」なりました。嬉しかったのは、何人もの生徒が『先生のテスト、解いていて面白い』と言ってくれたことです。こんなふうに言われたのは初めてで、これは端末やAIの力のおかげです」。
井上氏は、教員が抱える想像を超える多忙さに触れながら語る。「生徒の本質的な学びへの意欲は、時代が変わっても変わりません。しかし校務やトラブル対応に追われ、本来注力すべき教育の時間が削られてしまうのは本末転倒です。AIやDXを活用すれば、教育はより創造的になれると考えます。難しいことを簡単に、簡単なことを面白く仕掛ける 、これこそ指導の醍醐味であり、生徒の学びも自然とワクワクするはずです」。
ICT活用からAI活用へと移行する過渡期にある学校教育。その中で、筑波大学附属中学校は校務DXの推進や高度な教育活動において、導入したASUS ExpertBook CX54 Chromebook Plus(CX5403)のポテンシャルを早くも発揮しています。今後、さらなる教育効果の拡大が期待される。